その男は突然店に入ってきた。
オレは昨晩、小田さんの真駒内セキスイハイムアイスアリーナに参戦し、今晩は鈴木康博さんのライブを聴きに南大通にあるライブハウスへ来ている。2日あわせて「オフコースや!」とバカな事を言ったりして周囲の失笑をかっていた。
男はギターケースをおもむろに壁際に置くと、舞台袖に座って居た鈴木に声をかけた。
「おう、待たせたな。」
「いや、おれも今来たとこやわ。」
「昨日、来てくれてありがとう。」
「いつもながら、盛り上がてたな。」
…ん?その男と視線があった。
「お、お・だ・さ・ん…ん?」
口に入れようとしていた柿ピーを思わず鼻の穴に入れてしまった。
「誰にも言うなよ。ケケケ」
小田さんは笑いながら店内の観客に言った。
「内緒にしま~すっ!」全員がユニゾンで答えた。ピッタリと揃っていた。
「ヤス、Aの音くれや」(A=ラの音です)
鈴木さんは音叉を椅子の脚の角に「コン」とうち、ギターにあてた。
場内に「A」の音がこれから始まるコンサートの開始のブザーのごとく店内に静かに拡がっていった。
「オマエ、音叉、まだ持ってたんか。なつかしいな。」
と言いながらギターのチューニングを始めた。
「なんか高校の教室で、放課後に一緒にギターで歌ってた頃の事を思い出すな。」
「ほんまや!」
「ほな、一曲目いこか?」
♪そんなに 急いで どこへゆくの
泣いたり 笑ったり そんな時を
今のあなたは感じることさえ
忘れて街の中を走るよ
走るよ 走るよ 先へ先へと
かえりみる事を恐れるように
今からはじめようよ 夢を持ちながら
なだらかな道を あなたに
出来るなら 歩こうよ
出来るなら 歩き始めよう~♪
作詞:鈴木康博 ♪歩こう♪抜粋
店内は手拍子で大合唱!
これがオフコースか?
生オフや!
なぜか涙がこみ上げてきた。
思わず鼻をすするとショッパイ柿ピーが
鼻からズルッと入ってきた。
お・し・ま・い
【日程】2018年10月14日(日)
【時間】開場15:30 開演16:00
【場所】札幌・くう
〒064-0801 北海道札幌市中央区南1西20−1−25アウルビルB1
【料金】前売5,000円 当日5,500円(税込)(drink代 別途)
【時間】開場15:30 開演16:00
【場所】札幌・くう
〒064-0801 北海道札幌市中央区南1西20−1−25アウルビルB1
【料金】前売5,000円 当日5,500円(税込)(drink代 別途)